ここでは、樋口歯科医院の歯科衛生士にスポットを当てて、インタビュー形式でお送りいたします。これから樋口歯科へ通院を考えている方、または就職を考えられている方など、一般の患者さんから歯科業界の方々まで、当院のキャリア17年の歯科衛生士の仕事感や、当院のコンセプト等を少しでも知っていただけたら嬉しく思います。
2017年3月
語り手 / 歯科衛生士:小山田さん ドクター:樋口副院長
聞き手・写真 / 03デザイン
――歯科衛生士歴は17年のキャリアをお持ちということで、まず小山田さんが歯科衛生士になろうと思ったキッカケを教えていただけますか?
小山田)私はそれまで保育士とかになりたかったんですが、高校生だった当時は、これからの高齢化社会、介護職がよいという話題・風潮でした。「子どもが少なくなり高齢化社会」というニュースを真に受けてしまったんですね。看護師さんだと夜勤があるし、私は眠くなっちゃうから無理だなと(笑)。もうちょっと子どもからお年寄りまで携える仕事はないかな、と探していました。
ちょうどその頃、親戚が歯科衛生士学校に通っているという話を聞きましした。それまで私は歯医者自体に行ったことがなく「なんだ?その職種は?」となり、自分で調べてみたのがキッカケです。
「あぁ、こういう職業があるのか…歯科助手の補佐役とはまたちょっと違う事をするんだ…」と、当時はそれくらいの漠然としたイメージでした。「これだったら子どもからお年寄りまで関われるし、夜勤もないし目指そっかなー」というノリでした。
最初に勤務したクリニックは濃密の10年
――以前はどちらに務められていたのですか?
小山田)歯科衛生士になって最初に働き始めたところは、多摩市の聖蹟桜ヶ丘のクリニックです。そこを10年務めました。勉強会に参加できて、かつ技術的な指導をしてくれるクリニックでした。
そこでは歯周病の治療、全顎治療の患者さんを担当し、自分の技術で患者さんの口腔内がすごく良くなっていく結果を目の当たりにし、仕事にやりがいを持つようになりました。患者さんご自身も治って喜んでくださり、それで患者さんとも仲良くなっていき、充実した日々を過ごしていました。
濃密の10年で(笑)、ハードワークで朝8:30出社から終電ギリギリまで働きました。勤務が終わった平日も勉強して、足りなかったら早朝に勉強の時間を割き、休みの日もほとんど勉強会に費やしていました。忙しい医院でしたが充実した毎日を送っていました。人数は少なくて大変でしたが、聖蹟桜ヶ丘のクリニックでは、ずっとやっていくんだとそのくらい思っていました。
樋口歯科医院に入社したキッカケ
――樋口歯科に入ったキッカケは?
小山田)しかしその頃、交通事故のもらい事故がキッカケで体調不良も重なり、自分の状況を見つめ直していたときでした。それで「もう少し心置きなく、楽しくのびのび仕事のできる環境はないかな」と転職先を探したのが樋口歯科との出会いです。
地元が相模原でしたので「地元で仕事ができたらいいな」と思っていました。4~5軒の医院を見学・面接をしましたが、患者さんのいないガランとした医院、歯科衛生士が適当に仕事をしている医院、…等々、どこも自分の理想とする医院は見つからず…。
しかし、今でも不思議なのですが、なぜか樋口歯科は見学もしないでいきなり面接にいきました。院長先生とのフィーリングが合い、そして「この先生とお仕事したいな」と思えました。
そこで、思いのたけをぶつけ、以前のクリニックと同じように「勉強会には参加させてほしい」と嘆願し、お許しをいただき入社しました。
――現在、自分の技術を上げ続けるのに併行して、現在の後輩の指導も大変ではないですか?
小山田)最初に勤務した聖蹟桜ヶ丘の医院では、入社当初、先輩という立場の歯科衛生士さんがいませんでした。その当時は直接院長からの指導で憶えるのと、あとは手探りで勉強会に行って自分の技術を上げていく、という方法しかありませんでした。
また、週2回勤務のすごく年齢の離れたパートさんがいたんですが、その方の技術が凄くて、患者さんとのコミュニケーションも上手く、その人がお手本になり影響を受けました。週2という限られた時間の中で技術を盗み学びました。つきっきりで半年や1年、先輩が教えてくれる、という環境では全然なかったので、そういう苦労を今の後輩にはさせたくないなとは思います。
――人と話すのも好きなのですか?
小山田)正直、話すのは大好きで喋り出すと止まりません(笑)。地でもあるのですが基本的に人と話すのが好きなんです。
副院長)食べるのも飲むのも好き(笑)
小山田)色んな物事に興味がありすぎて「患者さんとお話しを合わせる」というのではなく、お話を全部真に受けてしまって…。例えばグルメの情報を教えていただいたら基本すぐ食べに行って、また感想を会話したりと…。本当に話すと止まらないので、手が止まってしまってドクター陣には注意されることが多いです。
歯科衛生士は歯石を取ったりクリーニングしたりするだけではない
――歯科衛生士さんの技術が患者さんのお口に良い影響を与えるのですか?
副院長)よく勘違いされるのですが、歯科衛生士という職業は何もクリーニングするだけがウェイトを占める仕事ではありません。総合的に患者さんと向き合い、モチベーションをどう高めていくか。歯石を取る事も大事ですが、それは治療計画の上でのほんの数%の過程にすぎません。
小山田)指導という言い方はあまり好きでな言葉ではありません。患者さんと会話をする中で、自らこうしてみたい、ああやってみたい、とセルフケアを自発的に行えるようになり、自ら築きあげたブラッシング方法であるとか…。患者さん個々に口腔内の状況や生活スタイル、ご性格やペースも違うので、歯科衛生士の立場からは基本ベースしかお教えしないんです。
患者さんに無理のないセルフケアを患者さんご自身が確立することにより、歯科衛生士自身も勉強になります。10年歯科衛生士を続けていれば、10年間お付き合いしている患者さんも出てきますので、そういう経過を見ていくのも充実してやりがいがあり楽しいと思えます。
できなかったことが出来るようになるから面白い
小山田)樋口歯科に入社した当時は、TEK(仮歯)が上手く作れませんでした。以前の職場では院内技工所があった環境でしたので、TEKを作る経験がなかったんです。樋口歯科に入ってからはだんだんと出来るようになってきたので、楽しいです。まだまだですが、一つ一つの事に没頭してしまうんですね。
勉強会の選び方
――歯科衛生士になられた当初から勉強熱心ですが、セミナー選別はどのようにしていますか?
小山田)歯科の世界にもたくさんの流派が存在し、勉強会の数もたくさんあります。昔は手探りの状態で「これもあれも」と受講していたのですが、現在は、興味のあるものを厳選して参加するようにしています。
例えばドクターの診療スタイルや考え方を聞いて、それに関連した勉強会に行くようにしています。そうすると疑問を抱えて勉強に臨むので、より理解が深まります。勉強会後はさらに疑問が出てくるので、終わりがないですね(笑)。
2016年は、約10回くらいのセミナーを受講したと思います。北欧の予防歯科事情、フッ素のお話(初歩的なセミナーでしたが意外と深い話も聞けた)、看護師・小山さんの摂食の講演、接触嚥下の介護の講義、…等々。20代の時は有名な歯科衛生士さんのセミナーで長野県まで飛んだり、オリエンタルランドが主宰する接遇マナーのセミナーも受講しました。
――歯科界は、食育だとか接触嚥下だとか、そちらの分野も目立ってきていますよね
小山田)そうなんです。当院では訪問診療はありませんが、患者さんの中には認知症の方もいらっしゃいます。クリーニングの時など、如何に誤嚥させないようにするか、そういった事にもつながると思い、受講しています。
歯科医師がやることよりも歯科衛生士がやらなければいけない事のほうが圧倒的に多い
――これからの高齢化社会、ますます、歯科衛生士さんの仕事が求められてきますね
副院長)…かと思えば、高齢者だけでなく「幼少の頃から口腔機能をどう作るか?」そういったセミナーにもスタッフと共に受講してきました。子どもが生まれて母乳を飲み始める頃から、如何に理想的な口腔機能を作っていくか。口の中の育んで正常な機能を獲得して、人生において正常な口腔機能を駆使しながら人生を全うする。そのような視点からみると、私たちの仕事であるインプラントや被せ物(補綴)などは、ものすごく小さなカテゴリーになります。
そうなると相模原の地域に歯科医療として貢献するのは、インプラントや補綴だけではなくなってきます。確かに歯周病治療も大事、インプラントも大事ですが、子どもの事からの保健指導、高齢者の摂食嚥下、誤嚥など、そのような視点から見た場合、歯科医師がやることよりも歯科衛生士がやらなければいけない事のほうが圧倒的に多いんです。
だから歯科医師の治療分野は実はすごく狭い。それよりも歯科衛生士の存在や仕事がどれだけ大きいか、それを最近すごく痛感させられます。
――そもそも歯周病にならないようにする、口腔機能を維持し誤嚥や肺炎を予防する、という事ですね
副院長)歯石除去ができればいい、ブラシングが出来ればいい、それってすごく狭い話なんですよね。患者さんの「生きる」という事にすごく関わるのが、もっと言うならば、健康に健やかな人生に関わるのが歯科衛生士さんだと思います。
樋口歯科に関わった歯科衛生士さんには、そういう歯科衛生士さんになってもらえたら、という理想があり、そうなれば世の中にハッピーになる人が増えるのではないかと思っています。
そう意味でも、歯科衛生士さんには、気持ちや考え方、フィロソフィーやコンセプトを持ってもらいたいなと思っているんです。
やりがいを持って仕事をすることが自分の幸せにつながります
――どのような職業にしても、仕事への取り組み方や姿勢、大事でよね
副院長)小山田はプライオリティは仕事のほうが高い、という珍しい人です。多様性を求める生き方をしている新人の衛生士さんからしたら、当院の歯科衛生士の姿勢はある意味、敬遠されるかもしれません。歯科業界に限らず、どのような職種でもこのような状況はあるかもしれません。
しかし樋口歯科で、もしこのような研鑽を積めば、もし他のクリニックに就職したとしても、一躍頼られる存在になると当院では思っています。同僚スタッフにはもちろん、何より患者さんに頼られる存在になると思うのです。
同じ仕事時間を過ごすにしても、良い時間が過ごせるのではないでしょうか。僕自身も最初は自分自身のために歯科医師としてスキルを磨いていました。「生活の為、子どものため」と思って仕事をするのか、それとも「やりがいのある仕事だから心底やりたいよね」と思って仕事をするのか、同じ時間を過ごすにしてもそれは違ってきます。
帰宅しても、例えばお母さんであれば、子どもに与える影響って変わってきます。仕事ですごくつらい思いをしてストレスを抱えて帰ってくるのか、時には子どもに当たる事もあるかもしれない。一方で、仕事に対してポジティブな人は、子育てに対してもポジティブです。仕事への考え方は、子どもの成長にとって、絶対に少なからず影響って出るはずなんです。家族にいい和が生まれ、その人の周りにはいい流れが循環するのではないか?…と考えたりするんです。
コミュニケーションと、そして…
副院長)歯科衛生士さんにとって一番大事なのはコミュニケーション。そして、コミュニケーションだけでは、どうにもならない事態も時として起きてしまいます。その一歩を踏み出すには熱意。それがあるから患者さんも付いてきてくださっていると思うのです。
これは今までのチーフクラスの歯科衛生士さんを見てきた揺るがない事実です。そして彼女たちに共通するのは仕事に対する熱意があるということ。…あとは食に対する執着心でしょうか(笑)
――今まで良い職場に巡り合えたのですね。
小山田)それは自分でもそう思います。遊びも仕事も全力です。職場運といいましょうか、嗅覚はするどいと思います(笑)
副院長)美味しい物を嗅ぎ分ける能力も(笑)
――他院と樋口歯科の違いはありますか?
小山田)樋口歯科に来て7年になります。樋口歯科は患者さんの数が多いのと、歯科衛生士のやる仕事の種類が多いですね。あと、わりと以前の医院は、ドクターが全て患者さんの治療計画や道筋を立てていましたが、樋口歯科は歯科衛生士の意見も反映してくれます。その分、歯科衛生士の立場として自分で考えなければいけない事も多いと思います。
副院長)ドクターが歯科衛生士さんに丸投げして考えさせることもあります。
――それは鍛えられますね
副院長)樋口歯科の最大の特徴は変化すること。勉強会に参加し続ける風潮は院長の時代からの文化です。決まったひな形やマニュアルというよりは、その時代の歯科医療の潮流に合わせて常にやり方を改変していくイメージです。これでいい、という現状維持や満足は無く、もっと良い治療や方法があるのではないかと常に考え、これからも変わり続けていくものと感じています。
――歯科衛生士さん自身の取り組み方も7年前と比べて違いますか?
小山田)変わってきています。歯周病への取り組み方も入社したころは、私も10年目、そこそこ技術的にも出来るほうでしたが、全体を見渡すと、出来る子と出来ない子の差が大きいと感じました。
では皆がまんべんなく歯周病の治療ができるようにするには?と考え、入ってきた子にきちんと教える環境作り、皆がある程度の患者さんを担当できるような環境作り、それらを順序立てて副院長と取り組みを始めました。
今では、皆が皆、きとんと一通り出来るようになりました。
――そのような教育システムを作り改善したわけですね
副院長)システムというほどでもないです。教えるためにとにかく時間を割く。…これだけですね。患者さんには申し訳ないですが、できるようになるまで、小山田がチェックをします。
小山田)歯石を取る取らない、の判断にしても「歯石触知※」ができるかどうか、ポケットの深さを測るプロービングも全てチェックするとか、そこから全部見ていきます。
※歯石の有無、ざらつき等を器具の先で確認する作業
副院長)歯石除去も、やみくもにスケーラーを入れているわけではないんです。そこに歯石があるからスケーラーを入れる。そのための事前の触知です。新卒の子であれば半年くらいから1年くらいでプロービングを少ずつ憶えます。2~3年目でルートプレーニング、4~5年目で中度~重度の患者さんを少しずつ担当してもらいます。
小山田)それまでの期間に、どういう流れで歯周病を治していくか、患者さんにどういうモチベーションを持っていただくか、そういうのも話し合いながら教えて進めていきます。何をポイントに見ていくか、患者さんとどういう会話をするか、…等々、その重要性を伝えるようにしています。
――それは憶えますね
副院長)なので当院は5年で1サイクルです。
小山田)石の上にも5年ですね。
副院長)ドクターは大体一通りの事ができるようになるまで20年以上かかりますからね。
プライベートも仕事も全力です
――休日の過ごし方・趣味は?
小山田)ホットヨガに行ったり、美術館に行ったり、映画を観に行ったり、あとは飲みに行ったり(笑)。友人と都内に食べにいったりディスニーランドにもよく行きます。
――そこは普通のOLさんと変わらないですね
小山田)そこは普通です(笑)。美術館に行って自分の好きな絵を見たり。絵や美術が好きな院長ともアートの話で盛り上がるんですよね。
副院長)ラーメン博物館のほうが近くてよく行ってるんじゃないの?
小山田)違います(笑)上野の美術館のほうです。去年は箱根に行った時も美術館巡りをしていましたし。もちろん現地の食べ物も美味しくいただきましたが…。私のプライベートは基本全て仕事にもつながっています。
歯科衛生士の存在理由・意義
――他院さんと比べると、樋口歯科は歯科衛生士さんの存在はものすごく大きなウェイトですね。
副院長)他でどういう風に歯科衛生士さんが扱われているかが分からないですが、当院での存在は絶対的に大きいとは思います。歯周病のアプローチ等においては丸投げすることもあります。
小山田)それは感じています。やりがいはありますね。
――ドクターと歯科衛生士さんの信頼関係も大切ですね
小山田)お互いに意見交換を激しくすることもありますね。逆にドクターからも高い要求を言われることもあります(笑)
副院長)僕の中では、ドクターのやるべき事、歯科衛生士さんのやるべき事の線引きはきちんとできています。例えば歯周病に関しては、歯科衛生士さんがドクターに依頼するまでは僕は動きません。もちろん事前の診断やエビデンス、患者さんの希望などを考慮することが前提なのですが。
時として熱い意見交換は、患者さんの情報をドクターが取りいれるための大切な工程なのかもしれません。当たり前の事なのですけれど、患者さんの事を良く知っているのは永くコミュニケーションを取っている歯科衛生士さんのほうです。その情報に基づいて、ドクターは必要な手技をするだけなんですよね。
――経験上、他院の歯科衛生士さんは、あまり世間話などをしてくれませんが…
副院長)もちろん歯科衛生士さんと患者さんの相性もあるかと思いますが、話す話さないってその歯科衛生士さんの資質だと思います。ドクターもそうですが、僕なんかも患者さんと無駄話しかしないですね。
小山田)樋口歯科でも全員が全員話し好きではないですが、全く何も話さない歯科衛生士さんはいないですね。皆、個性的なので(笑)。慣れてくれば多少は世間話も広がってくるとは思いますが、最初っから距離を縮めて話せる人なんてそうそういないですよね。
副院長)個性で言えば、樋口歯科は個性を潰すようなことはあまりしません。「こうしなさい」というがんじがらめもない。僕の父親である院長を筆頭に個性的集団です。
――歯科衛生士の仕事として日頃気を付けている点などあったら教えてください
小山田)普通のことばかりだとは思うのですが、まずは「手つき」かなとは思います。患者さんのお口を拝見し扱うので、あくまでもソフトタッチ。患者さんの中にはお化粧をしている方だっていますし、患者さんのお口を拭く動作一つとっても「すっ」とか「フワッ」とか、そういう感覚で触れ方に気を使います。フェイスタオルをして見えない分、手先から伝わりやすいので、一番気を付けている部分かもしれません。
あとは、患者さんの動き。手が動いたり足先がピンとなったりしていないか常に気を配っています。何かあったのかな?不快なのかな?とすぐ声がけをするようにしています。セミナー等でそういう患者さんの信号に気をつけなさい、とお話しもありました。その点は1~2年目のSRPの研修でも学びました。
SRPする時の自分自身の手を固定する場所も重要ですね。揺れている歯や口内炎などの箇所に手を置かない。事前に気を付けるようにしています。
――ドクターの動きに合わせても気を使いますか?
小山田)セメント練る作業一つとっても「このケースにはこの量」とか。急を要する治療やイレギュラーな場合は、それを察知してすぐに材料や道具を出せるようにしておかなければなりません。
これからの展望
――歯科衛生士としてのこれからの展望や未来像はありますか?
小山田)これから樋口歯科から巣立っていく歯科衛生士さんが何人も出てくると思います。もし他の医院に再就職するとなっても、そのまま歯科衛生士という職業を続けてほしいですし、やっぱり、これから入社してくる子たちには、歯科衛生士という仕事を好きになってもらえたらいいなと。またそういう人を育てていきたいなと思います。
副院長)子どもを持ってから思ったこと。それは「スキルを磨ける時間というのは一生のうちに限られる」という事です。女性の場合は、さらに少なくなります。一般的には、女性は結婚するまでが一つの節目。それまでにどれだけスキルを上げて自分の財産にするか。
若い子のほうが物事の吸収も早いという側面もありますので、年齢を重ねて技術がない歯科衛生士さんは中々職場では使いにくいのが正直なところです。
ですので、今若くて就職先を探している歯科衛生士さんは、ぜひ今のうちにスキルアップに時間を割くことをおすすめいたします。ある程度技術を持っている人のほうが、使われやすいし、お願いしやすい、採用されやすい。そして何よりも条件の良い職場が見つかりやすい。その歯科衛生士さん自身も働きがいがあるのではと思います。
「歯科衛生士さんは大変素晴らしい良い職業、だから辞めないでください」
副院長)上記は院長が常日頃、口にする言葉です。当院はそれを10年くらい前から、具現化するような取り組みを行ってきました。良い職業である事は間違いないのだけれど「では本当に良い仕事を見せてあげられているのか?提供できているのか?」…そんな疑問からスタートし、現在やっと6年目の戦士が2名、樋口歯科で育ち、大活躍しています。
小山田)頼もしいですし、しっかりしているし…。いつも助けてもらっています。
副院長)他のクリニックにいけば、普通にチーフクラスですね。めちゃくちゃできる子たちです。また本人たちはそれが普通と思っていますからね。まだ課題もこれからはあるのですが。
――これからの歯科衛生士として働く方、考えている方へのメッセージ等ありましたら
小山田)歯科衛生士さんを永く続けてもらえたらいいですね。患者さんに携わる事を楽しんでほしいなと思います。その患者さんが「この人に担当してもらって良かった、この医院に来てよかった」と思ってもらえるような歯科衛生士さんになってほしいなと思います。
副院長)女性の場合、生き方、ライフスタイルもより多様ですし、歯科衛生士という職業が世の中に足りていないので、一般的には、辞めても困らない、スキルを上げる必要もないという現状もあります。
多様性を求める生き方をしている衛生士さんからしたら、当院の歯科衛生士の姿勢はある意味、敬遠されるかもしれません。
ですので、当院は一般的なクリニックよりかは、勉強やスキルアップできる環境かと思います。漫然と仕事をこなす、という環境ではなく、患者さんから「ありがとう」と言われるような仕事の仕方をしています。そのような人たちが育ちやすい環境でもあります。
――ありがとうございました。
あとがき:歯科衛生士の存在意義について
今回、こういう歯科衛生士さんもいるんだ、ということを患者さんや同業の方少しでもに知っていただけたらとの思いでご紹介させていただきました。患者さんからの信頼も厚く、多くの後輩に教える立場になってきており、いざという時ににも頼られる存在です。
歯科治療というと、やはり外科処置や切削処置が伴いますので、少なからずお口の中は「傷」を負ってしまいます。そうならないようにするためには、やはり歯科衛生士さんの役割や存在が非常に大きいのではないかと樋口歯科では考えています。
基本的に、治療というよりは、悪くしない、悪くなるスピードを緩める、それで患者さんのいい人生になるのにちょっと役立てていければいいな、というのが樋口歯科医院のコンセプトです。
このインタビューをご覧いただき、少しでも樋口歯科医院にご興味を持っていただけたら嬉しく思います。