歯周病は、患者様とクリニックの二人三脚で気長に付き合う病気です

歯周病と女性

歯周病は世界最大の感染症として、ギネスブックに掲載されている病気です。

私たちは、歯周病が細菌が原因の感染症でもあると同時に、生活習慣病でもあると考えています。30歳以上の成人の約8割が歯周病に感染しているというデータもあり、現在歯周病になっていない人であっても、思い立ったときに検査を受けてチェックしていただきたい病気です。

当院の歯周病治療についての考え方

歯周病治療は患者さんと医院の掛け算です

歯周病治療は掛け算

歯周病の治療を、当院では「掛け算」だと捉えています。
掛け算は、どちらかの数字が0だと何をかけても0にしかなりませんが、両方の数字が大きくなればなるほど、イコールの先に導かれるのは大きな数字になります。

「患者さんの数字」×「医院の数字」=答えの数字が治療結果の大きさとお考えください。

例えば患者様が行う歯磨きが「1」、その後ろにクリニックでの歯周病治療が「×5」や「×10」になって重なり、歯周病治療の効果が上がってくるのです。
ですから、患者様に「1」を用意して頂かなければ、いくらクリニックが治療したとしても、「0×5」「0×10」となり、結果(答え)は「0」のままです…。

歯周病の改善には、患者様の「治したい」という気持ちと、生活習慣の改善をしていただく努力が必須となります。お互いに掛け算の答えを大きくできるよう頑張ってみませんか。私たちと二人三脚で一緒に歯周病を治していきましょう。

歯周病治療の効果が早くあらわれるのはこんな人

ポジティブな女性
  • ポジティブな人
  • 自分の体や健康に興味を持っている人

「治療をお任せします」ではなく「一緒に頑張ろう」という気持ちで治療に取り組んでいただけると、より早く効果が現れます。

歯周病になる原因

歯周病になる原因はお口の中の細菌です。この細菌は常在菌といってずっといる菌ですが、何らかのきっかけで増え過ぎてしまい、働きが活発になると歯周病になります。

  • 歯磨きが十分ではない、やり方が間違っている
  • 生活の癖(横向きやうつ伏せなどの寝る姿勢、歯と歯が当たり続けているなど、歯や歯茎への疲労やダメージによる弊害)
  • 食生活をはじめとする生活習慣
  • 体調の変化やストレスによる免疫の低下

お話をお聞きしながら、歯周病の原因になっていると思われる部分を探り、そこを変える方法をアドバイスします。

歯磨きについて

歯磨き女性

歯磨きにもいろいろな方法がありますし、いろいろな歯ブラシがあります。ところが歯磨きの方法は時代とともに変化していて、昔は良いと考えられていた歯磨き方法が、現在では推奨されなくなっていることもあります。

例えば、昔は歯と歯茎に対して斜め45度の磨き方が良いとされていましたが、現在では斜め45度を推奨する歯科医師や衛生士はまれです。

また、その人ごとにお口の中の環境は変わり、合う歯ブラシ、合わない歯ブラシがあります。また、磨き方の癖もあります。患者様のお口の中を拝見しながら、どのような歯ブラシを使い、どのように磨くと効果的なのかをお伝えします。

もちろん、今使っている歯ブラシのままでも、磨き方を変えるだけで状態が改善することもあります。できるだけ患者様に負担のない方法で、最大限の効果が得られる方法をお伝えします。

歯周病治療のすすめ方

歯科衛生士

歯周病の治療が必要な方でも、来院されたきっかけが「虫歯が痛い」場合、まず虫歯の治療を行って痛みを取り除きます。患者様が一番悩んでいること、治したい部分の処置を先に行ってから歯周病治療をスタートします。

  1. お口の中の写真やレントゲンを撮り、現在の状況を検査します
  2. アンケートにお応えいただき、歯周病の原因になる生活の癖を探りながらカウンセリングを行います
  3. 過去の歯の治療歴も詳しく伺います(歯を失っている方の場合、なぜ失ったのかを詳しく調査します)
  4. 検査結果をもとに、現在のお口の状況を詳しくご説明します
  5. 虫歯がある場合、虫歯を治療するなど、基本的な治療をしてお口の中の状態を整えます
  6. 歯ブラシ指導をして歯茎の状態が改善してきたら、歯石を取ります(歯茎がある程度しっかりしてこないと歯石は取れません)
  7. 虫歯の治療をしたり歯磨き方法を変えたりすると、歯周病の状態も変化します。最初と比べてどのように変化したかをチェックするため、再評価を行います。再評価の検査結果をもとに、ここで治療をいったん終了とするのか、外科治療に進むのか、それとも他の方法を試すのかを検討します。

お口の中の検査やカウンセリングと平行して治療や歯ブラシ指導を進めていく場合もあります。患者様の状態に応じてフレキシブルに変化します。

また、治療については、現状を患者様にお伝えしたうえで、患者様と相談して決定します。患者様を病気の対象とするのではなく、治療の中心にいるのは患者様だという考えのもと、患者様の意思を最大限に尊重して治療を行います。

治療回数や通院の目安

歯周病治療通院

歯周病治療にかかる回数や期間を気にされる患者様が多いのですが、治療回数や期間は患者様ごとで大きく異なります

治療を始めるときの状態も違いますし、歯周ポケットの状態を改善させるところをゴールにするのか、それとも噛めるところをゴールにするのかによっても違います。

また、いったん改善した歯周病が、その後の生活環境の変化やストレスで再発したり、患者様がどのくらい治療に積極的に関わり、生活習慣を改善できるよう努力していただけたりしたかも、改善までのスピードに大きく関わります。

とは言っても、歯周病の治療は短期間で終わるものではありません。生活習慣が原因で、長い時間をかけて歯周病になった方の場合は特にそうです。じっくり時間をかけて改善し、生活習慣を変えていきましょう。

行動科学では、新しい習慣を身に着け定着させるのに1年半かかると言われています。歯周病の治療には根気も必要です。焦らず正しい歯磨き方法を身に着け習慣にし、歯周病を確実に改善していきましょう。

歯周病の治療に終わりはない

歯周病常在菌

歯周病は、常在菌という体にずっといる菌が原因で発症します。その菌の働きを自分の免疫力で抑え込んでいるあいだは問題ないのですが、抑え込めなくなると歯周病が再発する恐れがあります。

免疫力は常に一定ではなく、病気やストレスで大きく下がります。出産・育児、介護、仕事量の増加などで免疫力が下がり、歯周病が再発することは珍しくありません。

このように人間は一生の間、体調や免疫力がずっと良好な状態である方はほとんどいないと考えています。そのためセルフケアだけでなく、歯科医師・衛生士によるプロフェッショナルなケアを受けていれば、万が一免疫力が低下しても、お口の中の状態が一気に悪くなるのを防ぐことができます。歯周病がある程度改善しても、定期的に検診を受けていただくようにお伝えしています。

樋口歯科医院だからこその歯周病治療

衛生士のスキルの高さには自信があります

歯科衛生士

歯周ポケットを測定して歯茎の様子を探るのも、定期健診で異常があるかを感知するのも衛生士です。歯周病治療では、衛生士のスキルが非常に重要となります。定期健診で早く異常が見つけられれば、早期治療が行えますので、患者様の症状が重くなる前に対処できます。

きちんと勉強しているスキルの高い衛生士は、自信をもって患者様にお話しできます。自信のある人の言葉には力がありますので、患者様も理解しやすいですし、心に響きます。何より患者様との信頼関係を作る大切な要素です。

当院の歯科衛生士は、定期的に開催する院内勉強会で技術を磨き知識を深めるのはもちろん、外部のセミナーにも出席して勉強しています。患者様により良い治療を提供できるよう、常に研鑽に励んでいます。

衛生士は担当制

担当制にすることで患者様のお人柄を理解した上で対応できますし、お口の中の変化もしっかり確認できます。いつも同じ衛生士が担当することで、安心して治療を受けていただけます。

衛生士は担当の患者様に対してそれぞれ思い入れがあり、「こうしたら良くなるかな」「こう話せば理解していただけるかな」と常に考えています。
もし、気になることや要望、疑問、不安などがあればお気軽にお声がけ下さい。一緒に治療に取り組んでいきましょう。

歯周病の手術ではマイクロスコープ(顕微鏡)を使っています

マイクロスコープ

しっかり患部を見ながら手術ができるように、2~24倍に拡大できるマイクロスコープを使って手術をしています。マイクロスコープで見ている画像をモニターに写し、周囲のサポートするスタッフも同じモニターを見ながら処置しています。

高倍率もそうですが、マイクロスコープ治療の利点の一つが「明るく影ができない」ことです。見ている視線と同軸で光源が入りますので明るい状態で影による死角が出来にくく、通常の治療で暗くてみえないようなお口の場所でも明るく鮮明に見えます。

また拡大率は2~24倍なのですが、その拡大視野から得られる情報量というのは肉眼の数十倍と言われています。

以上のことから、より精度の高い歯周病治療が可能になります。歯周病治療の精度を上げるためにも、マイクロスコープは必須と当院では考えております。

歯周病の治療をしないとどうなる?

歯周病

最終的に歯を失ってしまいます。歯を失うと多くの人は入れ歯になりますが、入れ歯は違和感が大きく、不自由を感じることも多いのが現実です。また、残った歯を使って噛むようになるため、残った歯にかかる負担が大きくなります。

さらに、噛めないと柔らかいものばかりを食べるようになるため、食事内容が糖質の高い食品に偏り、自然とタンパク質の摂取量が減ります。すると糖尿病になるリスクが上がり、筋肉量を保てなくため、日常生活に支障が出やすくなります。

それだけでなく、噛むと脳が刺激されますが、噛まないことで刺激がなくなるため、認知症になる可能性が高くなります。

高い生活の質を保ったまま年齢を重ね、できる限り介護を必要とせず元気に過ごしたいのであれば、なるべく早いうちから歯周病の治療を行うことをおすすめします。

よくある質問

歯石はどんなもので取るの?
スケーラーという器具で取ります。当院では基本的に麻酔をしますので、痛みはありません。歯石を取った後は歯が浮くような感じや、しみるなどの違和感がある場合がありますが、数日で落ち着きます。
歯磨きだけでも歯周病は治るの?
歯周病になる原因は細菌です。正しい方法で歯磨きを頑張り、免疫力が高ければ細菌の悪い働きを抑え込み改善する可能性はあります。しかし、歯磨きの仕方が間違っていて、それが歯周病の原因になっている場合はもあります。また、生活習慣や態癖が関係しているケースや、歯が壊れているために、本当は歯周病ではないのに歯周病と同じ症状が出ているケースもあります。症状が出ている原因を一緒に探りますので、まずは一度ご相談ください。

歯周病の治療で大変なのは……

通院

継続して通院することが大変、という点に尽きるでしょう。働いている時間、趣味の時間、家族と過ごす時間の一部を通院に当てなくてはいけません。そしてそれが比較的長い期間続いてしまいます。

しかし、歯は一生のものですし、ご自身の生活の質を左右します

初診で非常に状態が悪く「歯を長期間残すは難しいかもしれない」と感じる患者様もいます。しかし、真面目にきちんと通ってくださる方は、10年、20年と歯を失わず、最初から考えると驚くくらい良い状態に変化したお口を保たれています。

自分の歯を失わず、生活の質を保ちながら年齢を重ねるためにも、まずは検診を受けることをおすすめします。

コラム「歯周病は2種類ある」

歯周病には「治りやすい歯周病」と「治りにくい歯周病」があります。

  • 治りやすいのが、皆さんもよくご存知の「細菌が原因の歯周病」
  • 治りにくいのが、「細菌にプラスして病気を進ませてしまう要素がある歯周病」

です。病気を進ませてしまう要素には、次のようなものがあります。

噛み合わせ
  • 噛み合わせが悪い
  • 歯ぎしり
  • 糖尿病
  • 喫煙
  • さまざまな疾患により全身的に免疫が下がる場合
  • 過度なストレス
  • 態癖
  • TCH(上下の歯が当たっている(噛んでいる)時間が長い)
  • 偏咀嚼(いつも同じ場所の歯で噛む)

・・・などなど様々な要素があります。こうなった方の歯をレントゲンで見ると歯周病と同じように見えるのですが、細菌だけが原因ではないため治療に工夫が必要で、かつ、簡単には治りません。

患者様一人ひとりのお口を拝見してお話を聞き、歯周病になった原因をしっかり突き止めて、それぞれの方に合った適切な治療を行うことが重要となります。

ご予約・お問い合わせ

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休診:土日祝
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樋口歯科医院