親子3代にわたる歯科医院の継承について
院長より一言:水平診療について
昔は多くの歯医者さんが、立って診療を行っていました。しかし一般的な職人の世界ではどうでしょうか。印鑑の彫師が、裁縫をする人が立って仕事をするでしょうか。それまでの歯科の先生は非常に変な姿勢で治療をしていたと思います。
座りながら脇をしめてやりやすい姿勢で診療を行う。これがドクタービーチが考え出した水平診療とフォーハンドシステムでした。それを1代目である私の父がドクタービーチから教わり、それを学生時代に手伝いをしているときから目の当たりにしました。父はこのドクタービーチに師事し、治療方法を取り入れてきました。
その当時、水平診療を行っていた歯科医院はほとんどありませんでした。父のおかげで立って診療をするという経験をせず、悪い癖を付けないまま歯科医師になることができました。最初から一番良い診療スタイルを教わり、父からはすごく良い環境を譲りうけたと思います。
フォーハンドシステムとは
水平診療に対して、一番効率的に診療をするために、歯科衛生士がバキュームやエアーを使い、ドクターがミラーとハンドピースを持つスタイルです。全てのポジションが決まっており、一番術者のパフォーマンスが発揮できるというコンセプト。ドクター2本の手にアシスタント2本の合計4本の手を用いて診療をすることからフォーハンドと呼ばれています。
アシスタントに付く歯科衛生士は治療の全体像を把握しやすく、次に何が必要か動きが分かります。診療台を起き上がらせて、うがいをする回数が極めて少なくなり、治療時間の短縮につながります。
バキュームのポジショニングを最良にする方法のため、お口の中にお水や唾液がたまりにくくなります。効率的に無駄のない動きで診療を行えます。
▲上記はフォーハンドに使うビーチミラー。一般的なミラーに比べて小さい。患者さんのお口の中で違和感が少ない。
当院では今までいろんな診療スタイルを見てきましたが、フォーハンドシステムは上記のような事から優れた診療システムだと考え、今に至っています。
水平診療台「スペースライン」について
樋口歯科医はも開業以来、ドクタービーチの提唱した水平診療でずっと診療を行ってきました。上記でご紹介したフォーハンドシステムのコンセプトに合わせたのが水平診療であり、スペースラインという診療台です。人間工学的に無駄のない姿勢・動きで歯科診療、一番ストレスが無く一番よい仕事が出来る診療スタイルを提案している診療台です。
当院では全ての診療台がこのスペースラインであり、開業時から一貫してスペースラインのみを使用してきました。「世界で唯一フィロソフィーを持った診療ユニット」とも呼ばれ、このスペースライン10台が導入された歯科医院は他にはないと思います。
疲れない診療台を選ぶということは、如何にストレスが無く良質な治療ができるかにつながります。人間工学的に一番理にかなった診療台としてスペースラインを当院では選択しています。決して、見た目がよい、形がいい、安い、などの理由で診療台を選択しておりません。
人間工学に基づく診療台は海外製品にも高級なメーカーがたくさんあり、椅子自体の作りだけが人間工学に基づく診療ユニットも存在します。しかしスペースラインは人間工学に基づいた診療システムを実現するために作られた診療ユニットです。
マイクロスコープとの親和性が高いユニット
スペースラインを真似てか、他メーカーも水平になる診療台のリリースが増えて来ました。フォーハンドシステムはミラーテクニックを重要視しますが、そのスタイルとマイクロスコープの親和性が実は高いんです。これからの時代にフォーハンドを学ぶという事は、ドクター自身の身体も軽減でき疲れにくくなるので永く診療ができるんです。
またミラーテクニックをマスターすれば、マイクロスコープ診療においても高いパフォーマンスを維持できます。そういった背景もあり、フォーハンドは昔から優れたシステムなのです。
そういったことから、当院は先代が築いてきたものをこれからも継承していきます。
副院長より一言
当院80年の歴史は「原点回帰」でした
今まで様々な歯科学会・勉強会に参加してきました。そして2016年現在、「CDC」というスタディグループに参加しています。その勉強会は50年以上続く勉強会で、お知り合いの先生の勧めで入会したのですが、参加後しばらくして気づいたことがありました。
なんとCDCは祖父が師事したDr.ビーチの考えを継承した勉強会だったのです。自分はそのことを知らずに入会したのですが、巡り巡ってこのCDCを受講しているという縁に、自分自身も父である院長も驚きました。
浸潤麻酔の打ち方、ミラーテクニック、診療中の姿勢などなど、結局根っこの部分は一緒だったんだと思いました。形に見えない物も先代が築いてくれていたのだと改めて感じています。
自分の代からはさらにこのフォーハンドと水平診療に磨きをかけ、樋口歯科として定着・継承していきたいと考えています。